Ars Shimura アルスシムラ

Ars Shimura アルスシムラ

Ars Shimura アルスシムラ

アルスシムラについて

私が染めて、私が織って、私が着る。

志村ふくみ、志村洋子の創造した染織の世界を芸術体験を通じて学ぶ場、「アルスシムラ」

アルスシムラの教育理念は

「魂の教育」

アルスとは、もともとラテン語で「技術」「芸術」という意味を表します。本来、芸術家とは、自分の内面世界を表現するだけでなく、自然の探究者としての側面を持っています。染めたり織ったりの手仕事を通してものの命に近づく深い芸術体験と、思想、哲学の講義を設けることによって「色と言葉」を重層的に学び、自己理解と、さらには自然に対する理解を深めることを目指しています。

アルスシムラのクレド

クレドとは、「信条」「志」「約束」を
意味するラテン語

  1. 1. アルスシムラは 一人ひとりの魂のふるさとに出会う場所です。
  2. 2. アルスシムラは 自然の声に耳を傾けます。
  3. 3. アルスシムラは 染織を通して物づくりの精神を大切にします。
  4. 4. アルスシムラは 美に基づく共同体を目指します。
  5. 5. アルスシムラは 芸術活動を通じて平和を考えます。

アルスシムラの成り立ち

1.時代に向き合う

2011年3月11日の東日本大震災と福島原発事故によって、私たちは改めて身に迫る「近代文明の危機」を感じました。草木で染めて、手機で織るということも、自然そのものがなくなっては存続できません。大いなる自然とともにあるこの営みを次世代に残すために、私たちに何ができるか考える中で、社会に開かれた芸術教育の場を作りたいという考えが生まれました。それから2年後、2013年4月、京都に芸術学校・アルスシムラが設立されました。

ふくみの母・小野豊ふくみの母・小野豊
昭和学園昭和学園
機織りをする志村ふくみふくみの母・小野豊 昭和学園

2.柳宗悦の民藝運動と志村ふくみ

アルスシムラの源流は、民藝運動を主導した柳宗悦らが京都につくった上加茂民藝協団にまで遡ります。そこで小野豊は染織家の青田五良から糸を紡ぐこと、草木で染めること、地機で織ることなど、染織の手ほどきを受けました。そして、1927年に滋賀県初の私立小学校となる昭和学園の設立に協力し、芸術教育を志しました。
豊の娘であった志村ふくみは、32歳のときに染織の道に入りました。柳宗悦の『工藝の道』を紬織の思想の原点とし、黒田辰秋、富本憲吉、上村六郎らの助言と指導を受けながら制作を続け、紬織の染織家としての地位を確立しました。植物染料で絹糸を染め、手機で織るという手法を守りつつも、民藝の枠を超えて自らの内面世界を織り込んだ着物を制作していったことは、当時としては画期的なことでした。モチーフは、故郷である琵琶湖や工房のある嵯峨野の風景、『万葉集』・『枕草子』・『源氏物語』・『古今和歌集』などの古典文学、カンディンスキーやクレーの抽象画など、多岐にわたります。従来、紬織は普段着としてみられていましたが、そこに独自の世界観と美的感性を持ち込むことによって、工芸と芸術を融合した紬織の作風を完成させました。

機織りをする志村ふくみゲーテの『色彩論』から示唆をえた、染め糸による
《糸の色彩環》(志村ふくみ・志村洋子)

3.西洋の色彩論と志村洋子

志村洋子は、天体の運行や月の満ち欠けに従って行う藍建てに強く心をひかれて染織の道に入り、母・ふくみの技術と思想を継承しながらも、キリスト教芸術、イスラム教芸術などをモチーフにした独自の芸術世界を創り出しました。また、ドイツの文学者ゲーテ、思想家ルドルフ・シュタイナーらの色彩論も学び、東洋と西洋の違いを超えた普遍的な「色」という美を目指しています。1989年にふくみとともに、都機つき工房を設立し、日本伝統の着物という枠を超えて、文化・芸術・思想を総合的に学び、表現しています。

志村ふくみ《秋霞》志村ふくみ《秋霞》
志村洋子《聖クララ》志村洋子《聖クララ》

4.アルスシムラ

アルスシムラでは、芸術家は特別な才能にめぐまれた人しかなれないのでなく、一人一人が芸術家たりうると考えています。草木染め、平織は複雑なシンプルな技術であるからこそその人の感性や思想がそのまま反映されます。よい作品を制作するためには技術の習得だけでなく、つねに自然に寄り添い、自然と対話し、想像力を養わなければなりません。糸を紡ぐ、草木で染める、手機で織る、着物をまとう、語り伝えるという、太古から連綿と続いている営みを学びつつ、現代に生きる私たちがそうした営みをどのように継承し、自然と人間の共生できる未来を作っていくのか、考えていきたいと思っています。それが「近代文明の危機」への私たちなりの取り組みなのです。

創設者のことば

志村ふくみ

Fukumi Shimura

私達は染織の仕事をとおしてさまざまなことを学びます。植物(色)、動物(糸)、鉱物(媒染)は、単に素材としてだけではなく、生命あるものを提供してくれます。それに対して私達は知性や感性を使って物創りをします。そうして精神こめてつくられたものが美しくなる道程を学ぶのです。その道から外れれば美は訪れないのです。

滋賀県生まれ。染織家、随筆家。31歳のとき母・小野豊の指導で植物染料と紬糸による織物を始める。重要無形文化財保持者(人間国宝)、文化功労者、第30回京都賞(思想・芸術部門)受賞、文化勲章受章。京都市名誉市民。著書に『一色一生』(大佛次郎賞)、『語りかける花』(日本エッセイスト・クラブ賞)、『ちよう、はたり』など多数。 作品集に『織と文』、『篝火』、『つむぎおり』など。2013年に芸術学校アルスシムラを娘・洋子、孫・昌司とともに開校。

講師の紹介

志村 洋子

message

染織はその殆どが糸との関わりで成り立っています。色を染め、整経し、機に掛けるまでのあいだ、糸を絞り、括り、伸ばし、巻きつけ、最後に織ります。その間幾度となく糸はもつれたり、切れたりしますが根気よく直していくと、一筋の道が見えてきて、辿るべき方向がわかります。糸が裂になるまでの行程はどこか人の生き方と似ています。糸を手にする喜びと苦心を一緒に体験していただけたら幸いです。

【プロフィール】
東京生まれ。染織作家。「藍建て」に強く心を引かれ、30代から母・志村ふくみと同じ染織の世界に入る。1989年に、宗教、芸術、教育など文化の全体像を織物を通して総合的に学ぶ場として「都機工房」を創設。著書に『色という奇跡』、作品集に『染と織の衣裳 オペラ』がある。

Yoko Shimura

志村 昌司

message

人生の転換点となるような劇的な出会いは、いくつになっても起こりうるものだと思います。アルスシムラでは染織経験はまったく必要ありません。経と緯という非常に抽象的な世界に、苦労して自分を表現していく過程が大切です。太古から続いてきた染織は人間と自然のコミュニケーションの一つの型にまで洗練されています。最終的には、それは「生き方」の学びにまでつながっていくと思います。頑張ってみようと思う方はぜひ門をたたいてください。

【プロフィール】
京都生まれ。京都大学法学研究科博士課程修了。京都大学助手、英国Warwick大学客員研究員を歴任。大学院では、20世紀の哲学者カール・ポパーを研究する。祖母・志村ふくみ、母・志村洋子とともにアルスシムラを設立。

Shoji Shimura

志村 宏

message

なぜ植物は色を与えてくれるのか。この問いを胸に志村の自然観を追及しています。植物の背景と色、自分と向き合い出てきた色からイメージし、独自の物語の創造を楽しみましょう。言葉を話さないものたちの声を聴く努力と、自分では到底制御出来ない色に、すべて任せるという祈りにも似た気持ちと姿勢を持つことが大切です。それが素晴らしい色を呼び、「色を活かし、色に活かされる」ということに繋がるのだと信じています。

【プロフィール】
京都生まれ。幼少の頃より工房内を遊び場とし、志村の仕事を側から目の当たりにすることにより、志村の自然観が染み付く。大学卒業後は植物を育てるということに魅せられ、自然の中で農業を営む。その体験を活かし、植物染料の採集、育成研究、染色方法の研究などを中心に活動している。

Hiro Shimura

外山 もえこ

message

糸の光沢や手触り、植物から与えられる色、機を織る音やリズム。染織にまつわるさまざまなものを五感で感じとりながら一枚の布を織りあげる中で、皆さんと共に自然の真理に一歩でも近づけたらと思います。

Moeko Toyama

林 美由紀

message

1つの場に集まった方々が手仕事を通して沢山の発見や感動を分かち合える場です。身近なことから文化まで心を深く寄せて学べる場になるよう皆さんのお手伝いをさせていただきたいです。

Miyuki Hayashi

後藤 麻美

message

植物のいのちの色を糸に染め、ひと織りひと織り心をこめる。手仕事を通して自分自身と深く向きあう、豊かな時間をすごせますようお手伝いをさせていただきたいと思います。

Asami Goto

堀ノ内 麻世

message

手を動かしてものを作る。ものを作るということそのものが生活の一部になっていくような気がします。素材と、色と、自分自身と・・・真摯に向き合う豊かな時間を皆さんと共に過ごすことができれば幸いです。

Mayo Horinouchi

小野 厚子

message

真っ白な絹糸を植物で様々な色に染め、織ることで無限の織り色となります。それは、時として自分の想像を超えた美に出会うことでもあります。この染織の活動を通して、自然や社会との関わりを共に学んでいきましょう。

Atsuko Ono