卒業制作展を終えて
アルスシムラ2018年度卒業制作展、無事に終了いたしました。
毎日変わる天気予報を見て、はらはらしながら迎えた初日でしたが、
期間中は幸いにも好天に恵まれ、700名を超える方にご来場いただくことができました。
ご来場くださった皆様、有斐斎弘道館の皆様、関係各所の皆様、
この場をお借りしまして、御礼申し上げます。ありがとうございました。
最終日には志村ふくみ先生を会場に迎え、生徒が作品を紹介する時間を設けました。
また、こちらのブログでも日替わりのお菓子をご紹介しておりましたが、
会場となった有斐斎弘道館様のご協力により呈茶を実施し、
茶室のお床には、アルスシムラにちなんだものをしつらえました。
軸は、志村ふくみ先生直筆の書。「裂によせて」の一節です。
内容につきまして詳しくは、ぜひ全文を『一色一生』等、書籍でご確認ください。
盆には繭と、草木染めで生徒が染めた糸を、色相環のように並べています。
繭が糸となり、その白糸を染めて、心を込めて織る。
織りあげた裂そのものを、いとおしむ。
私たちが日ごろ大切にしている世界観が、このお床に表現できたのではないかと思います。
厳しい寒さを乗り越えて梅の香りが漂う季節、アルスシムラは最後の授業日を迎えます。
生徒それぞれが、残された時間を思い思いに過ごしています。
染め場からは、炊き出ししている様々な樹木の香りが辺りにただよい、
生徒たちの笑いさざめく声が校舎を包んでいます。
いつかこの時間を思い出すときには、きっと、
情景とともに、その香りや、声もよみがえることでしょう。