結び葉
風に揺れる若葉が気持ち良い5月。例年になく早く梅雨入りしましたが、晴れ間のある日に葉が重なり合い、 手と手を結ぶような結び葉を見ていると、心も弾みます。
4月に藍の種を生徒さんたちと、小さなポットに蒔きました。芽が出て、 のびのびした葉っぱが見られるのを楽しみに、 まだかまだかと目をやる日々です。

昨年の夏に始まった新学期から、感染対策のため分散して登校する日々が続いています。
染織を学ぶ仲間との時間は、コロナ禍以前にあった時間とは少し違います。 毎日揃ってみんなと顔を合わさない分、共同で作業できる時間や、 お互い助け合う時間が貴重で、心に刻むこともあるはずです。

この春に届いた山桜は、美しい紅色に染まり、 桜の花の香りがしてくるようで、 生徒さんたちもその色に魅了されているようです。
染めた色や匂いによって、懐かしい風景や大切な人が浮かび、 織りにつながることもあります。


今、機部屋は様々な色であふれています。ピンク、黄緑、藍、 黄色、紫、異なる色が機にかかり、生徒さんそれぞれの個性が出ています。
機の上にある裂には、自分の一部のような感じが残っています。いつか着物や帯などのかたちと なって、自分と向かい合ったらどんな思いになるのか、期待と不安を同時に抱えながら織っているのではないでしょうか。
ここで織る裂は、自分の手、そして誰かの手によってできます。 一人の作品はみんなの作品とも言えます。
今は距離を置くことが必要でも、ものづくりを通して、人と人が繋がる場所でありたいと願い ます。
