しむらのいろ 志村ふくみ 志村洋子

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しむら日記

うちの藍さん

台風が去って、嵯峨野は比較的、涼しい日々が続いています。

この四月から工房に入り、藍さんのことを語るには百年程早いですが、新入生なりに書いてみます。

 

今、工房では藍瓶が横に並んで二つ。左の甕にはもうすぐ三ヶ月になりますが、まだまだ色をもち、元気でお上品なおばあ藍さん。そして右は、一昨日、最後の離乳食をもぐもぐ、昨日初染だった赤ん坊の藍さん。


藍瓶さん

 

並んでみてみると、真ん中にぽっこり浮かんだ藍の華の色が、おばあ藍さんは青、周りが赤み紫。赤ん坊藍さんは、逆になっています。なんだか不思議。

 

人が年を重ねると振る舞いは優しいが芯がキリリとなってくるのと同じなのかなあとか、藍さんをみて私達に重ねてみることが多いことに、ふと気がつきます。

 

 

私が初めて藍瓶の中に手を入れて染めた時、ほのかに暖かくて血液みたいに少しとろっとしている藍さんに、植物というより動物的なものを感じたのを今でも覚えています。

 

手を入れて染めるときは、真実の口に入れるような緊張感があります。全て見透かされているような、そんな気分です。もちろん手首がなくなるなんて恐怖はないですし、逆に何があっても受け止めてくれるような宇宙みたいなおっきくて暖かい口です。

 

これからも、お昼の美味しいお話と同じくらい藍さんの登場が多いと思います。それ程、私たちの生活の一部であり大切な家族なのです。

 

 

さて、では、よい午後を。

 

 

まんまる

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